純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「あ、あの、すみません……」

「……何故、謝る?」

「えっ?」

「篠原さんの言うとおりだ。……アルバイト先のマスターにも、よく言われる。それに……篠原さんの笑顔、とてもかわいいのに」

「っ?!」


 そっか。桐生さんの表情が綻んだのって、たぶん私が笑ったから――って!この人はまた、ぬけぬけとそんなことを言うっ!


「私はかわいくありませんよ?」

「いや、かわいい」


 さらりと言うなぁ、この人。どうして、恥ずかしもなくそんな言葉がさらりと言えちゃうんだ?この人は。


「桐生さんって、何歳なんですか?」


 気になっていたこともあり、話題を変えてみた。


「たしか、21……だったか」


 21歳っ?!私より年上なのは薄々と気が付いてはいたけれど、思っていたより私と年が近いことに驚く。


「大学生……ですか?」

「ああ」


 アルバイトと大学を両立している人は多いって聞くから、それに対しては特に何も思わないけれど……。


「いつ、私の存在を知ったんですか?」


 大学に通いながらアルバイトをしていて、私の存在を知る時間があったのかを疑問に思った。桐生さんは少しだけ考えるそぶりを見せたのち、口を開く。
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