純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
 鎖を思い切り引っ張ってみたり、ベッドの足に固定されている鉄枷が外れないかと色々と試してみたものの、外れそうにないどころかびくともしない。

 もう1度だけ真っ白い部屋を見渡してみた。もしかしたら、外せる何かがあるかもしれないと思ったからだ。

 ……しかし、わざわざ近くに寄らなくても分かるようにか、机の上にも棚の上には何も置かれていない。そう、最低限に必要なもの以外は、何も“ない”のだ。

 真っ白い部屋のせいだろうか……塵や埃さえも、全く落ちていないように思えるくらいだ。


「逃げることは出来なさそう、か」


 それが分かると、変に入っていた肩の力がフッ……と抜けた。

 いつもの癖なのか、無意識のうちに自分の制服のスカートのポケットの中に手を入れる。携帯電話はここにある、と、脳が思い込んでしまっているのだ。

 ……しかし、中は空っぽだった。手で何も掴めない虚しさに、胸の辺りがざわりとした嫌な感じに包まれる。


「あっ、鞄……鞄は?」


 ふと、鞄の存在を思い出す。

 携帯電話がポケットの中にない。となると、他に考えられる場所は、高校に行く際に持ち歩く鞄のみだから。

 再び部屋の中を見渡してみた。

 私の高校専用の鞄が置いてあるかもしれない……と思ったからだ。

 もしも見付からないようなら、私をこんな目に遭わせた犯人が処分した……と、諦めるしかないのだけれど……。
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