純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
 桐生さんが分からない。

 この家に監禁されてから数日が経ったけれど、桐生さんは私を殺すどころか、酷いことは何1つとしてしてこなくて……。

 むしろ、高級ブランドの服をたくさん買ってきてくれたり、何かと優しげなことを言ってきたり、今だって……条件を破った本人である私には危害を加えないと言う。

 私に対しての扱いと、私に関わる人達への扱いの落差が大きすぎる。


「……篠原さんは、どうしたい?」


 優しく、問い掛けられる。

 どうしたいのかっていう選択肢さえ、私に委ねるっていうの?まるで、桐生さんのすべて、私が中心に動いているみたいじゃないか……。


「……篠原さん?」

「え……あ……」

「俺のことは気にせず、篠原さんの好きにするといい」


 そう言われ、私は決意した。


「外に、出てみたいです……」


 桐生さんはコクンッと、大きくうなずいたのだった。


●●●


 腕や足につけられていた鉄枷は、桐生さんが持っていた鍵によって外される。買ってもらった服を手渡され、洗面所に入るように指示された。


「俺が傍にいたら、着替えられないだろう」

「あ、はい……。ありがとうございます」


 どうやら、桐生さんなりの気遣い……らしい。

 確かに傍にいられたら着替えづらいので、私は素直に指示に従い、洗面所で買ってもらった服に着替えた。
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