純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「そうか。それはよかった。……俺がいない間、マスターとは何を話していたんだ?」


 ──ビクッ!

 マスターと会話をしたこと、桐生さんにバレている……。

 恐る恐る顔を上げて桐生さんの顔を見遣ると、まるで私の心をすべて見透かしているかのような……そんな真っ黒な右目が、私のことを見つめている。


「……別に、助けを求めたわけじゃ、ないです。そんなことをしたら、マスターにまで被害が及んでしまうと思いましたし……。だから、ただの何気ないお話をしました」


 嘘をついてもバレそうだったし、何より、嘘をつかなくちゃいけないような話はしていないと思ったから、私は素直にそう言った。


「っ?! ……君は、自分のことより相手のことを考慮したのか?」


 すると、桐生さんはまた両目を見開かせて、私をガン見している。……なに?私、また変なことを言っちゃったのかなっ?!


「……まぁ、そういうことになるんですかね?」


 自分のことより、相手のことを考慮……。結果的にはそういうことになるのかな、うん。

 でも、マスターや他の人に危害が加えられてしまうのは嫌だし、そうなってしまうくらいなら、私が捕まったままでいることの方が容易いから……。


「だって、桐生さんはマスターを慕っているのでしょう? ……そんな方を、巻き込みたくはないですし」
< 79 / 349 >

この作品をシェア

pagetop