純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「今は、大丈夫です」

「そうか。……もし、行きたいところが思い浮かんだら言ってくれ。すぐにでも連れて行くから」


 ふんわりと微笑みかけられ、不覚にもドキッとした。……って、バカバカ!ドキッてしてどうするっ?!私には洋佑がいるのにっ!

 桐生さんの唐突の言動に赤面していると、いつの間にか桐生さんの家についてしまっていた。


「やっぱり、鉄枷……つけるんですか?」

「ああ。篠原さんが俺の目の届く範囲にいなければ、落ち着かない」


 ……そ、そうですか。


「……あ、あの、日付が分かるもの……カ、カレンダーとか、時計とか、用意してもらえるのなら用意してほしいなぁ……なんて」


 桐生さんは私の両手首と両足首に鉄枷をはめながら、真っ黒の右目をこちらに向けた。


「……何故?」

「今日の日付とか、今の時間とか……分かる方が落ち着くから、です」


 一応、目覚まし時計はベッドに設置されている棚の上に置かれているけれど、電池が切れてとまったら、時間が分からなくなる。

 壁掛けの時計が1つあっても、損はしないと思うのだけれど。


「そうか。明日の夜までには、買ってきてやる」

「ほ、本当……に?」

「ああ。篠原さんが望むもので、俺が用意できる範囲のものなら……いくらでも用意する」


 い、いくらでもっ?!桐生さんは何を考えているの?というか、やっぱり相当のお金持ちなのかな……?
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