純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「じゃ、じゃあ……何か、暇を潰せるものがほしいです!桐生さんが家にいない間……私、なんにもすることがなくて……」


 調子に乗って、うっかり贅沢を言ってしまった。けれど、桐生さんは怒らず……逆に目を細めて、小さく微笑んで頷いてみせた。


「分かった。それも……明日の夜までには買ってきてやる」


 ほ、本当に買ってきてくれるんだろうか……?私が望むもので、用意できる範囲のもの……すべて。

 こういう言動を見ると、桐生さんは本当に私のことを愛しているんだなぁ……と、思い知らされる他ない。

 そう思い知らされるたび、恥ずかしさなのか照れなのかは分からないけれど……頬が熱くなるのと同時に、これからどうなるのか分からない恐怖で、身体が震える。

 ……って、私、どうして頬が熱くなるのっ。おかしいでしょ……相手は紛れもない犯罪者なのに。

 私の両手首と両足首に鉄枷をはめ終えた桐生さんは、スッと音もなく立ち上がった。


「……少し、出掛けてくる」

「え?」

「すぐに戻るから」


 私が何か言うよりも早く、桐生さんはさっさと出掛けてしまった。

 ぽつんとベッドの上に取り残された私は、孤独に押し潰されるかのように、体育座りをして身体を丸める。


「どこに行ったんだろう……」


 喫茶店に、忘れ物でもしたのかな……。すぐに戻るって言った桐生さんのことだから、本当にすぐに戻ってくるんだろうな……。
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