純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「ん……」


 目を開ければ、一面に広がる白い部屋。

 恐ろしいことに、徐々にこの部屋に慣れてきてしまっている自分がいた。

 目を擦りながら上半身を起こし、辺りを見渡す。……桐生さんの姿はなかった。アルバイトか、はたまた大学の方に行ったのだろう。

 重い鎖をじゃらじゃらと動かし、ベッドに腰掛けるようにして座る。ベッドの足の横に、昨日……桐生さんが買ってきてくれたものが置かれてあった。

 暇を潰すものとして、私が絵を描くのが好きだと知っていたのか、画用紙や鉛筆やペンなどをたくさん……。

 それから、パズルやトランプやジェンガなんかも買ってきてくれている。けれど、中には1人でする遊びじゃないものも混ざっている。……いや、1人でやろうと思えば出来るけれども。

 自分がお願いしておいてなんだが、なんだか手が出しづらくて、未だに袋の中に入れたままだ。

 それから……白い壁にはカレンダーと時計がかけられてあった。

 ぜんぶぜんぶ……私がお願いしたから、桐生さんが買ってきてくれたもの。

 本当に買ってきてくれたんだと思うと嬉しかったけれど、素直に喜んでいいものかは……分からない。
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