純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
 時計を見ると、昼を少し過ぎた頃。

 机の上には、やっぱり桐生さんが用意してくれた昼食が置かれてあった。コロッケや焼き魚、野菜炒めなどがある。ちゃんと栄養バランスは考えられているらしい。

 もう危険な薬なんかは入っていないと信じている私は、躊躇なくそれらに手をつけ、完食した。うん、やっぱりとても美味しい。

 こんなにも料理が上手なのだから、料理教室とかひらけそうだなぁ……。

 完食したためにもう何も乗っていない皿を、台所の近くの台の上に置く。本当はちゃんと洗っておきたいのだけれど、鎖の長さ上、洗えないので仕方がない。

 歯を磨いたり顔を洗おうとして、重い鎖を引きずって洗面所に向かう。替えの服を持って、ついでに着替えてしまいたいが……手足につけられている鉄枷のせいで、それは叶わない。

 うーん、手足から布を通して着る形の服じゃない服があればいいんだけれど……生憎ながら、私はそのような服を見たことがなかった。


「……服は、桐生さんが帰ってからにしよう。鉄枷を外してもらわないと着れないや」


 しょうがないな……と、洗面所に入ると、目の前にある大きな鏡を覗き込んだ。
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