純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
 うわ、もしかして、やつれた?

 なんか……前の自分と比べると、痩せてしまっているような……?

 なんですか、これ。名付けて監禁ダイエットですか。そんなの、嬉しくないダイエットだよー……。

 思わず溜め息を漏らすと、私は蛇口を捻り、流れ出て来た水で顔を洗った。手首の鎖の重さのせいで、顔を洗うのも重労働に感じる……。

 そばにかけられてあるタオルで水滴を拭うと、今度はコップと歯ブラシを手に取り、歯を磨く。

 このコップや歯ブラシは、私がここに監禁されてから用意したものらしい。だから、新品同様なんだとか。

 コップで口の中を濯ぐと、コップや歯ブラシをもとの場所に戻して……と。

 さて、これから何をしようかな。桐生さんが用意してくれた、トランプやジェンガなんかを使ってみる?でも、1人でやったって面白くないだろうなぁ……。

 そんなことを考えていたら、玄関の鍵穴がガチャガチャという音をたてた。

 ──って、えっ?!桐生さん、もう帰ってきたのっ?!

 まだお昼なのに……。大学にせよアルバイトにせよ、今日は早く終わったのかな……?

 不思議に思っていると玄関の扉が開き、桐生さんが帰宅した。
< 94 / 349 >

この作品をシェア

pagetop