純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
「今日はずいぶんと早いんですね……?」

「……ああ」


 早い理由は……聞かないでおこう。聞いたところで私には関係のないことだし、きっとこういう日もあるんだろう……と自分に言い聞かせる。


「あの……食べ終わった昼食の皿、台の上に置いておきましたから」

「……ああ」

「本当は……自分が食べた分は、自分で洗いたいのですが……」

「それは、気にしなくていい。君が余計なことを考える必要はない」


 うーん、そうは言われましても……。

 いくら桐生さんが犯罪者だとしても、そればっかりは申し訳なく思うのは私だけでしょうか……?

 自分の身の回りの世話は、自分自身でしたいと……そう思うのだけれど。


「……、篠原さんの顔が、見たくなった」

「へっ?」


 唐突にそんなことを言うものだから、ビックリして変な声が出てしまった。


「今日、早く帰ってきた理由」

「なっ……だ、ダメですよっ!」

「?」


 反射的に大きな声を出していた。桐生さんは不思議そうに首を傾げるけれど、一度口をついて出た言葉は、そう簡単には止まらない。


「大学にしろ、アルバイトにしろ……桐生さんが生きていくために必要なものなんですから!そんな……私の顔が見たいからとかいう理由で、簡単に放り投げたらダメです……っ!」


 ……どうしよう。
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