純粋に狂おしく愛してる ー君が私を監禁した理由(ワケ)ー
 思わず、年上な上に犯罪者である桐生さんに、説教みたいなことを言ってしまった……。

 さすがの桐生さんでも、こればっかりは怒ったよね……?

 どうしよう、「君には関係のないことだろうっ!」って怒鳴りながら、叩かれたり殴られるのでは……っ?!

 その証拠に、桐生さんは両目を見開いたまま固まってしまっている。


「……あ……あの……いきなり大きな声を出してしまって……」


 ゆらりと近付いてくる桐生さんに、思わず肩を強張らせる。

 やっぱり怒らせちゃったんだ……!


「っすみませ……ん……?」


 叩こうとしているのか、片手を私に伸ばしてきているのを見て、反射的に目をつむる。同時に謝罪の言葉を口にしようとした……けれど、いつまで経っても痛みはなくて。

 それどころか、頭の上を優しくぽんぽんと撫でられて、私は拍子抜けせざる得ない。


「……え? 桐生さん……?」

「ありがとう」

「っ?!」


 ふんわりと微笑みかけられ、なぜか顔に熱が集中していく。

 こ、これはっ、決して微笑む桐生さんがかっこよかったとか、そういうわけじゃ……っ!!!


「篠原さん」

「はいっ」


 ……声が上擦っているよ。
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