俺様教師の甘い罠




さっきまで暑いと話していたのに
今じゃ嘘みたいに体は震えて
気を抜いたら”寒い”と口から
零れてしまいそうだった。




「 ここから入るとすぐ保健室なんだ 」




生徒しか使わないから
人が少ないんだよって
笑顔で言われたけど
返事なんてできずに
グイグイ引っ張られる
腕を離してほしくて、




保健室の手前で足を止めた。




「 ・・どうしたの? 」


「 あ、の・・・大丈夫なので・・・ 」




さすがの私でも分かる。




男子校の保健室、文化祭中で
人の少ない場所=危ないところ。




身の危険はもうずっと前から
感じてはいたけど、だけど
まさか本当にこんなところまで
連れて来られるなんて思わなくて。




「 何が大丈夫なの?
 足、痛いんでしょ? 」




少し苛ついたような声に
ビクリ、と肩を上げれば
掴まれていた腕が離された。




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