俺様教師の甘い罠




歩きながら何度も携帯を
開いては閉じて、メールが
来ないか確認するけど
・・・・・来ない、よね。




私は休みでも先生は仕事で、
きっと今だって仕事中。




きゅっ、と携帯を握って
少し歩くスピードを上げた。




───────────ヴヴヴ..




手の中で震える携帯を
すかさず開いて、
”直斗先生”の文字に
自然と頬が緩む。




『 後ろ 』




緩みきった頬を両手で
押えながら振り返ると
見たことのある車が道路脇に
停車していた。




「 ・・・・・・なお? 」


「 お前、それ気に入ったの? 」


「 ・・・・だめ、ですか? 」




直斗と呼ぶのは私にはまだ早くて
そう呼ぶので精一杯だった。




< 139 / 216 >

この作品をシェア

pagetop