俺様教師の甘い罠
「 他の所でするんですか? 」
「 あー・・まぁ・・・ 」
冷えた車内に響く走行音と冷房の音、
かき消されそうなほど小さく曖昧な
先生の返事に首を傾げた。
何か、企んでる・・・・
そう感じたものの、先生の考えることなんて
全く検討もつかなくて、それ以上
考えるのはやめておいた。
「 なぁ、澪 」
名前を呼ばれて顔を上げて
ハンドルを握る先生を見る。
冷房の風に髪が靡いて、
涼しそうな表情の先生は
いつもよりもかっこいい。
最近は暑くてムッとした顔しか
見ていなかったのも・・・あるけど。
「 休みより俺をとるなんて、
澪は本当に俺のこと好きだな 」
からかうように笑いを含んだ
その言葉に何か言い返さないと
”好き”だと言っているような
気がして、恥ずかしいのに
言葉なんて出てこなくて、
結局私は顔を逸らして黙り込んでいた。