俺様教師の甘い罠
「 大丈夫? 」
その日の夜は大変だった。
忘れよう、寝よう、って
思えば思うほど涙が止まらなくて
気付いたら朝になっていて、
泣き腫らした真っ赤な目は
メイクや眼鏡じゃ隠せなかった。
「 ・・・うん、大丈夫だよ 」
無理に声を殺したせいか
喉がヒリヒリと痛くて。
優しく髪を撫でる結花ちゃんの手に
また泣きそうになった。
「 数学の係りは高坂な 」
そんな、私たちを他所に
先生は淡々と係りを指名していく。
「 ・・・・・へ 」
あっという間に全員の名前が
読み上げられて、反論する間もなく
先生は教室から出て行ってしまった。