俺様教師の甘い罠




大きな太い針を身体に
突き刺されたような
そんな痛みを感じた気がした。




見ていられなくて、
顔を背けて、目元を覆う。




さっきまで涼しかった車内に
蝉の鳴き声と、暑い風が入ってきて
そんな中で私は泣いていた。




「 ナオちゃん、”2人の家”に
  帰ってきてくれてありがとう♪ 」




私なんか見えてないのか
彼女はそう言って怒る先生に
抱きついているようだった。




見たくなくて、目を瞑って
早く終われば良いのにって
ぎゅっと手を握るしかできなかった。




「 ・・・・・愛[マナ] 」


「 なに?ナオちゃん 」


「 ここから出て行けって
  言ったはずだけど 」




車を降りて、走って帰りたい。
だけど、帰り道なんて分からない。





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