俺様教師の甘い罠




「 ・・・・澪 」




離れないように、
隙間なんかできないように、
きっと先生は苦しいのに
それでも構わない、と
腕に力を入れた。




少しの間抱き合って、
背中に回っていた先生の手が
そっと腰を掴んで、




ふわっ、と体が浮いた。




「 ・・・・なぁ、澪 」


「 ・・・・・ 」




抱き上げられて、車を降りて
先生が片手でドアを閉める。
返事の代わりに腕の力を
ぎゅっ、と一瞬強めたら
先生はゆっくり歩き出した。




「 聞きたい? 」


「 ・・・・・ 」


「 いや、違うな。
  聞けるか? 」




何を、なんて聞かなくても
それが何の話を示しているかは
さすがの私にもわかる。





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