俺様教師の甘い罠




「 元はあんなに明るくなくて
  今が信じられないくらいに
  細くて、ボロボロだった 」




その時・・・愛さんと出会った当時を
思い出しているのか
ふと見上げた先生は目を閉じていて
だけど私の背中に回された手には
”力”を感じて。




きっとこの先は、話したくないんだ。




そう思った。
これは先生個人のことじゃなくて
きっと愛さんの大事な過去でもあって。




それを、先生は話そうとしてる。




「 ────────────・・直斗 」




いつもなら分からない。
きっとこの重たい空気にも
先生の辛そうな表情にも
気付かない。




それでも今日は気付けた。




だから、・・・・・今は。




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