俺様教師の甘い罠




「 ・・・直斗も、不安そう 」


「 別に 」




間のない返事に小さく笑いを零せば
なんだよ、って不機嫌そうな先生が
首を傾げた私にキスをして、




「 ・・・色々考えてた 」




もう一度キスをされるのかと思ったら
先生はそのまま私の肩に顔を埋めて
大きな溜息を吐き出した。




この1週間、私も色々考えた。
これからのことだってそうだけど
やっぱり1番は愛さんのことで、
先生も知らない愛さんの妊娠後のことは
正直不安で仕方ない。




「 愛のことは正直、気持ちより
  体が先に動いてたから
  引きずることなんかなかった 」




捨て猫みたいに、帰る家がないって
泣きついてきた愛を放っておけなかった。




意地悪のくせして、本当は優しくて
温かい人だから、放っておけないのは分かる。
うん、うんって相槌を打ちながら
先生の背中に手を回した。




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