俺様教師の甘い罠
春休みに入って一週間。
少し遠出した帰りの電車内は
人が少なく、静かだった。
走行音とアナウンス以外の
音はあまりなくて、
眠気を誘う心地いい揺れに
私はうとうとしていた。
何度目かのアナウンスが
駅の名前を告げて、
その少し後にドアが開いて
人が降りて、乗ってくる。
───────────・・綺麗。
夕日色に染まった電車内。
眩しそうに目を細めた彼に
私は目を奪われていた。
恋をする気持ちが分からなくて
この16年間、恋をしたことがない。
そんな私は、誰とも知らない彼に
一目惚れしてしまった。