俺様教師の甘い罠
「 ッ・・・なんで・・・ 」
「 何でも何もないだろ。
お前がその子どもにできることは
子どもの分も生きて、
幸せになることだろ 」
私、ここに来て何も
話せてない。
だけどきっと今口を開けたら
声を上げて泣いてしまいそうで、
唇を噛んでいるしかなかった。
「 違うか? 」
「 分かんないよ・・・ 」
「 そんなことないだろ。
お前、小さい頃から
寂しい思いしてきたんだろ?
それなら自分が親になるときは
寂しい思いなんかさせないよう
一緒に居てやればいい。
それだけのことだろ? 」
先生はすごい。
きっと辛いのに、心の中で
自分をすごくすごく責めてるのに
そんなのを全部押し殺して
こうして表情1つ変えないで
彼女の欲しがってる言葉を
全部あげてる。
だから、なのか
先生がずっと傍に居たら
きっと今頃可愛い子どもが
いたんだろうな、なんてことを
考えてしまった。