俺様教師の甘い罠




本当はまだ授業中だけど
あと10分もすればお昼休みだし・・・




「 ・・・お邪魔します 」




少しだけ、と私が向かったのは
書庫だった。
鍵を開けて中に入ればふわっ、と
桜の匂いを乗せた風が少しだけ
開いた窓の隙間から入ってきた。




散らばった本を適当に片付けて
隅に積んで、私はその横に座って
目についた小説を手に取った。




─────────恋愛もの、かな?




少し難しそうな分厚い本。
あらすじを読んで、すっかり
気に入った私は壁に背中をくっつけて
そっと一ページ目を捲った。




使っている言葉は難しいけど
それはとても優しい恋の話。




まだまだ読み始めたばかりだけど
ヒロインは私と同じで、新任の
先生に恋をしていた。





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