俺様教師の甘い罠
───────────ガチャッ
いつもより1時間早く家を出た。
いつもより4本早いバスに乗って
いつもより早歩きで学校に来た。
鞄の中の小説が私に力をくれる。
鍵を使って開けなくても
書庫のドアは開いていた。
「 今日は早いな 」
差し込む光と吹き込む風。
邪魔そうな前髪を片手で
かき上げた先生は持っていた
本を机の上に置いた。
「 どうした? 」
「 これ、読みました 」
「 ああ、どうだった? 」
鞄から小説を出して先生に渡しながら
私は深呼吸をして、先生を見上げた。