俺様教師の甘い罠
「 俺は教師だ 」
「 分かってます 」
「 この小説のように
うまくいくと思ってるんなら
大間違いだぞ 」
輪郭をなぞってゆっくり
下へ下りていく指先に
全神経が集中して、
触れられた場所からじわじわと
熱を帯びてきて。
「 ・・・絶対にうまくいかない 」
眉を寄せた先生は私を見下ろして
”分かってるのか”と確かめるように
先生の手が心臓の辺りで止まった。
先生の呟きは、重たい。
浮かれていた私の心を簡単に
沈めてしまう力がある。
「 ・・・せん、せい 」
だけど、もう戻れない。