俺様教師の甘い罠
大丈夫、なんて言えない。
あの小説のように、主人公のように、
きっと楽しい毎日なんかじゃない。
頭のどこかでそれは分かっていた。
それでも、私は伝えた。
「 私、恋を知らない 」
止まっていた先生の手を掴んで
きゅっ、と指を絡ませる。
少し驚いたような顔で私を見て
だけどすぐにふっ、と柔らかく笑って、
「 ・・・俺にどうしてほしい? 」
握り返された手の温もりに
どこかで詰まってた涙が
溢れ出して来て、頬を濡らした。