彼が唄えば
「149センチは誰が見たってチビだろ――」

「はいはい。スタジオあいたよー。しょーもない口論でスタジオ代無駄遣いしない」

 パンパン、と、バンドリーダーであるベースの沢木が手を叩く。ノッポはぎろりと私を睨んで唇を閉じた。私は愛用のキーボードを担ぐ。バンドを組んで一年。それなりに形になってきたと思う。

 特に私はボーカルのノッポのことは特別に――想ってる。


 仲は相変わらず悪いんだけど。そんなこと問題じゃない。

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