【完】空とキミ ‐十朱 朔也‐
公園で空を見上げる理由
――……。
……。
翌朝。 と言うか、もう昼近い。
昼近くに目を覚ました時、彼女はもう居なかった。
代わりに残されていた手紙には、こう書いてあった。
【 勝手にシャワー借りちゃったよー。
泊めてくれてありがとう! お世話になりました!! 】
一枚目がこれ。
そして二枚目が…、
【 朔也の寝顔可愛かったから、襲おうかと思っちゃった(笑) 】
……二枚目は無かったことにしよう。
「あれ?マコっちゃん、もう行っちゃったんだ?」
「…らしいね」
俺よりも遅く起きてきた龍輝があくびをしながら頭を掻く。
その間に二枚目の手紙を懐に隠し、一枚目のみを龍輝に渡す。
「面白い子だったなぁ。 また来ねーかな?」
「…真由になんて説明する気だよ」
「んー、お前の彼女?」
「…馬鹿」
…アレが彼女とか、想像もしたくない…。
「…俺ももう帰るよ。
なんだかドッと疲れた」
「あはは、お疲れさん」
…何が理由かわかってんのかコイツは。
と思いながらも、声をかけることすら面倒臭い。
というか、本当に疲れた…。
だからひらひらと手を振るだけにして、龍輝の部屋を出た。
…寝起きの体に昼の太陽はキツい。
日陰を選びながら道を進み、昨日の公園へと差し掛かった時…。
「おーい、朔也ー」
……聞きたくなかった声が公園の奥から聞こえてきた。