【完】空とキミ ‐十朱 朔也‐
「知ってるよ」
「…出た方がいいんじゃ?」
「いいよ別に、放っとけば止まるから」
「でも…」
……あ。
止まった。
「ほらね、止まったでしょ?」
と、にっこり笑った彼女が空を見上げる。
その横顔は、なんだか少し寂しそう。
「…出なくてよかったんですか?」
「いいよーぉ、どうせ彼氏だもん」
「それなら出た方がよかったんじゃ…」
「いいのいいの、もう“元”彼氏だから」
…え?
「昨日さぁ、久しぶりに彼氏ん家に行ったんだよねー。 いわゆる遠距離恋愛!
で、一人暮らしの彼の部屋で、彼が帰ってくるのを待ってたわけ。
そしたら彼、女の子の肩抱いて帰ってきたの。
でさ、その女の子に“妹が急に来ちゃってー”ってへらへら言って。
なんか、そういうの見てたら反論するのも面倒臭くなっちゃって。
それで“お邪魔虫は消えますー”って部屋を出て、この公園に居た」