【完】空とキミ ‐十朱 朔也‐


「………」

「漫画みたいな素敵なお話でしょー?
昨日は連絡の一つも寄越さなかったのに、今日はずーっと電話とメールの嵐。

私のことなんて気にしないで、あの子とイチャイチャしてればいいのにね?」


あははっ、と顔では笑ってるけれど、その瞳はやっぱり寂しそうで、悲しそう。




「…昨日龍輝に話した元カレって、そいつ?」

「あ、それはまた別人。
今のコレは、どっちかと言えばマメな方かなぁ。

だから遠距離してても全然平気だったし、他に女が居たなんて気付かなかったけどね」

「…ふぅん」


「ってアンタ、全然興味無さそうだね?
あーぁ、全部話した私が馬鹿みたいじゃん」


……興味無い。ってわけでもないけどね。




「あ、ねぇねぇ朔也、電話の拒否ってどうやるか知ってる?」

「ん?」

「メールは拒否したんだけどさぁ、電話を拒否する方法がわかんなくて」


「あぁそれならアドレス帳からその相手を選んで…――」

「あーわかんないからテキトーにやっといて!
携帯預ける!私はその間にお菓子の調達! よろしく!!」

「――…はい」


……まったく、自由な人だなぁ。

でもそんな人でも、あんなに寂しそうな顔、するんだよな。


「………」


…昨日あんなに馬鹿な発言してたのは、強がってただけなのかな?




「うぉ、毛虫踏んづけた!!
ごめんね毛虫ちゃん、安らかに眠っておくれ!!」




……いや、やっぱり素か?

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