【完】空とキミ ‐十朱 朔也‐
……。
その後、彼女が買ってきたお菓子を食べながらお茶を飲み、二人で空を見上げる。
「いい天気だねぇー」
「うん」
「なんか私たち、公園デートしてるみたいじゃない?
ラブラブカップルー」
「そのリュックが無ければそう見えなくはないかもしれないね」
「あはは、仕方ないじゃん。
二泊三日の予定で来たんだから」
え? 二泊?
「じゃあ今日どうするの?」
「公園で野宿ー。てのは嘘で、今日帰るよー。
いつまでも居たって仕方ないもんね」
「あー…そっか」
…今日、帰るのか。
「あ、もしかして私が帰っちゃうから寂しいの?
なんなら今日、朔也ん家に泊まってあげてもいいよ?」
「…いや、笠井さんが居なくなって寂しいのは龍輝。
また会いたがってたから」
「えー? 朔也は寂しくないの?」
「全然」
「このやろー、可愛くない男だなー」
…可愛くなんてなりたくないけどね。
……。
「さてと、じゃあそろそろ行こうかな」
空っぽになったお菓子袋をビニール袋に突っ込み、それをゴミ箱へ放る。
「朔也、色々ありがとね」
荷物がパンパンに入ったリュックを背負い、彼女が笑う。
「じゃ、さよーなら。
龍輝くんや他の子によろしくね!!」
「うん」
「残り少ない高校生活、存分に楽しみなー」
そう言いながら、彼女は振り返ることなく歩いていった。