【完】空とキミ ‐十朱 朔也‐

「…あの、笠井さん。
なんで俺の番号…――」

『寝てる間にこっそりゲットー』

「――…あぁ、そうですか…」


…やっぱり泊めるんじゃなかった。
と言うか、泊めるなよ馬鹿龍輝。


『せっかく出会えたんだから、このままバイバイなんてイヤじゃん！
だから、お友達としてよろしく!!』

「…切った直後に拒否します」

『そんなこと言わずによろしく頼むよー!!
あ、私のことはマコでいいよ？ それから敬語も無しー』


…マイペース馬鹿女。




「…マコ、俺はこれ以上アンタとやり取りをする気は無い。
電話番号もメールアドレスも拒否する。 これ以上俺を乱すのはやめてくれ」

『へぇ、私に乱されてたんだ？
それって、私のことが好きってこと？』

「……もう切る」


ピッ と電話を切り、その番号を即座に拒否する。

…直後、マコからメールが届いた。




【 私は朔也のことが好き。
だからこうやって電話してメールもしてるの。
もっといっぱい朔也のことが知りたいよ？ 】


……馬鹿女。




「………」


ﾋﾟｯ ﾋﾟｯ ﾋﾟｯ と携帯を操作して、彼女のメールアドレスを拒否欄に入れる。


…これでいい。

俺とマコは、これ以上話す必要なんて無いんだ。


「…さよなら、マコ」


そう呟き、最後のボタンを押…――、




「こら朔也ー!!」

「…っ……」


――…ボタンを押そうとした瞬間、マコが遠くで叫ぶのが見えた。