【完】空とキミ ‐十朱 朔也‐


『私ねー、元々はその街に住んでたんだ。
高校卒業するまではそっちに居て、卒業と同時に今の場所に移ってきて。
あ、元カレとは同じ高校出身!って誰も聞いてないか!

まぁとにかく、そっちには私のおじいちゃんとおばあちゃんが眠ってるわけ。
ほんとはこの前お墓参りして帰るはずだったんだけどー、色々あったからすっかり忘れてた! あはは!!』


……笑っていいことじゃないだろ。




『だから朔也ー、一緒にお墓参りに来て?』

「…いや、なんでそんな話に…」

『だって幽霊出たら怖いじゃん!!
それに、変質者とかも居るかもしれないでしょ?』


…変質者より幽霊が先に来るのか。


『それにぃ、“将来の旦那様連れてきたよー!”って報告もしたいし?』

「………」

『と言うことで! 今度の土曜日よろしくね!!』


「え? あ、ちょっと…」




……切れた。




「…やっぱり電話なんてするべきじゃなかった…」


そう言って大きなため息をつき、携帯を静かに閉じた。




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