【完】空とキミ ‐十朱 朔也‐
……。
それから俺たちは街を歩き、墓に供える花を購入してまた更に歩き続けた。
「そういえばさ、免許は持ってるのに車は無いの?」
「ん?あるよー」
「…じゃあなんで電車で来たの?」
「そりゃあ、楽だからに決まってんじゃん!!」
…あぁ、なるほど。
確かに長距離運転するよりは、のんびりと電車に揺られてた方が楽か。
「それにねー、電車から見える景色が好きなんだよねー。
ほら、山とか川とか田んぼとか、田舎の風景が好きなんだぁ」
「あー…、なんとなくわかるかも。
懐かしいと言うか、ホッとすると言うか」
「うんうん、それ!!
田舎に住んだことなんて無いのに不思議だよねー」
と、そんな話をしながら笑い、バスに乗って郊外へ。
丘の上に立つ墓地には誰も居なくて、マコと俺の足音と声だけが響く。