【完】空とキミ ‐十朱 朔也‐
……。
大雅に遅れること7分。
「………」
…その7分の間に、料理はすべて食べられてしまったらしい。
「朔ちゃん遅かったねー。 何かあったの?」
「…うん、ちょっと変なのに絡まれた」
「そうなの?朔ちゃんに絡む奴なんて珍しいねー」
「うん」
お前が「可愛い」って言ったあの子だよ。
なんて言ったらまた面倒なことになりそうだから、黙っておくことにした。
「朔也、何か作ろうか?」
食器を洗いながらの龍輝が明るい声で聞く。
けれど、「煩わせたくないな」と思ったから首を横に振る。
「何か適当に買ってくるからいいよ」
「そか?わりぃな」
「いや、もう慣れた」
「だな」
龍輝と笑い合い、大雅を見る。
…コイツはいつもそう。
出てきた物をあっという間に完食し、そして俺(ひと)の分まで食べ尽くす。
もう慣れた。と言うか諦めた。
「ついでに何か買ってこようか?」
と、聞いてみる。
そうすると3人は、間髪入れずに俺を見た。
「酒」
「つまみ」
「タバコ」
…聞かなかったことにしよう。