【完】空とキミ ‐十朱 朔也‐
「やっほーおじいちゃんおばあちゃん久しぶりー!!」
綺麗に整備された墓の前でマコは笑い、まるでそこに“居る”かのように話し続ける。
「この前彼氏と別れちゃったよー。
私が来るって知ってたはずなのにさぁ、他の女を連れ込むなんて信じらんないよねー。
やっぱり私って男運が無いのかなぁ?
なーんか変な男ばっかり当たっちゃうんだよねぇ。
あ、て言うか私が変だから変な男が寄ってきちゃうのかな? あははっ」
そう笑うマコを横目に、花を供える。
「あ、彼は朔也くんって言ってね、私が困ってた時に助けてくれたんだー。
なんとなんと!こう見えてピチピチの高校生!
それでねー、メガネ外したらビックリするくらいのイケメン!!
あ、このままでもカッコイイよねー。 きっと女子高生はみんな朔也くんに夢中なんだろうなー。
彼の友達もみんな素敵だったなぁ。 類は友を呼ぶってやつ?羨ましいよねー」
…って、何言ってんだか。
「と言うことで、また来るねー!!」
…え?
「マコ?もういいの?」
「うん、話したいこと話したからオッケー!!
さぁ街に戻って遊ぼー!!」
…そんなんでいいのか。
んー…。
(…見ての通り、マコさんは元気なんで安心してください)
…なんて思いながら手を合わせ、既に行ってしまったマコを急いで追った。