【完】空とキミ ‐十朱 朔也‐


……。


…夕方。


「いやー、遊んだねー」

「…いやー、貢がされたねー」

「あははっ! 男の子なんだから細かいことは気にしないの!」


……そうは言うけど、さすがに使いすぎたな…。




「荷物いっぱいになっちゃったね」

「あぁ…うん、調子に乗って取りすぎる馬鹿のせいだよ」

「こら朔也、調子に乗っちゃダメでしょ!」


…いや、アンタのことだから。




「…で、どうするのコレ」

「ん?あぁお菓子は非常食になるから全部持ってくー。
人形は朔也の部屋に飾る?」

「飾らない」

「あはは、ケチ」


…ケチと言われても、嫌なものは嫌だから。


「で、オモチャは?」

「んー、遊びたいけど、箱おっきいから持ってくのは大変だね」


「…マジで遊ぶつもりだったの?」

「もちろん!」


…やっぱり、変な奴だ。




「あー…あのさ、持っていかないなら人にあげてもいい?」

「彼女?」

「…まぁ、女の人にだよ」

「…ふぅーん?」


…何かを期待してるような、それでいてどこか怒ったような…、よくわからない表情(かお)のマコが俺を見つめる。


「それって誰?」

「……秘密」

「えー、私と朔也の仲でしょ? 教えてよー」


どんな仲だ?

まぁ…別に隠す必要なんて無いからいいか。




「龍輝の母親」


正確には継母、か。


「小さい子が居るから、人形とかオモチャとか喜ぶかなと思って」


と言ったら、マコはパァッと明るい顔をした。


「なんだ、それなら万事オッケー! 今から届けに行こっ!」

「いや、龍輝に預ければそれでいいよ」

「えー? 子供好きだから会いたかったのにー」

「…そんなことしてたら電車に間に合わなくなるだろ?」


あと10分ほどで電車が来る。
それに乗り遅れると、乗り継ぎが上手く行かなくなるらしい。




「二人でラブホにでも泊まればいいじゃん」


…はい?

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