【完】空とキミ ‐十朱 朔也‐
マコが、ふっと笑う。
それから体を寄せて、耳元でそっと呟いた。
「私の体、今日だけ好きにしていいよ?」
…初めて会ったあの時と同じ言葉。
だけどあの時よりも甘くて切なくて、愛おしい。
「なんちゃって!! さすがにそれは無いよねぇー」
「………」
「朔也と寝るなんて想像も出来ない! あははっ!」
…けらけらと笑うマコ。
その顔を見つめ、僅かに息を吐く。
「…俺はアンタと寝たいけど?」
「へ?」
「そんな風に言われたら我慢出来ない」
…マコの腕を掴み、駅とは別の方へと歩き出す。
「ちょ、ちょっと朔也?」
「何?」
「な、何って…ねぇ、冗談だよね?」
「………」
「朔也?」
……はぁ…。
「冗談なんかじゃないよ」
「えっ…?」
「…っていうのが冗談」
「……はい?」