【完】空とキミ ‐十朱 朔也‐
迷うことなく中身を取り出した龍輝が、俺にそれを見せて不思議な顔をした。
「マコっちゃんからお前へのプレゼント?」
「………」
…どういうことだ?
こんなの、一言も…――、
♪〜♪〜♪〜
「――…っ……」
…テーブルに置いていた電話が鳴る。
しかもそれは、この茶封筒を置いていったであろうマコからだった。
「うっわ、すっげータイミング」
…驚く龍輝の声を後ろに聞きながら、携帯のボタンを押す。
「…マコ、これは何?」
『やっほー今着いたよー!って、いきなり何?』
「…封筒。俺へって書いてあるけど、これは何?」
なんでこんなものを?
何考えてんだ?
なんでこのことを言わずに行った?
…次から次へと出てくる疑問を飲み込みつつ、マコの言葉を待つ。
『あー、それは御礼だから受け取っといて』
「…御礼?」
『今日1日迷惑かけちゃったじゃん?
だからまぁ、感謝の気持ちってやつ!』
………。
「…こんなの受け取れないよ」
『へ? なんで?』
「女からこんな大金受け取れない」
『…んじゃあ、私を男と思って受け取ってください!』
……そういう問題じゃないから。
「…俺は別に、こんな物が欲しくて一緒に居たわけじゃないよ」
『うわ、“こんな物”とか酷い!諭吉さんに謝れ!!』
……はぁ…。
「…マコと金のやり取りなんてしたくない」
『でも私、今日ほとんど朔也に出してもらったじゃん』
「それはそれで、これはこれだよ」
『えー…? よくわかんないよ』