【完】空とキミ ‐十朱 朔也‐
……。
ХХ駅、到着。
「じゃ、また連絡するねー」
「ん」
「あ、ちゃんと返事してよー?
じゃなきゃ寂しくて泣いちゃうからね!」
「んー…、出来る限り頑張る」
「ちょっとぉ、頑張らなくたって返事くらい出来るでしょー?」
「あはは」
…いつもと同じように笑う俺たち。
マコは少し寂しそうだったけど、それでも笑ってるから俺も笑った。
「ねぇ朔也。 土曜日、また私と会ってくれる…?」
…甘いささやきと、上目遣い。
だけどこれは多分…、
「……荷物運びとして男手が必要、ってことですか?」
「あ、バレた? まさにその通り!!」
…やっぱり、ソレだよな。
「…まぁ、暇だからいいよ」
「お、やったー!! お昼にカップ麺奢ってあげる!!」
「……はいはい、そりゃあどうも」
…そんなやり取りをして、車から降りる。
「じゃ、またね!」
ひらひらと手を振るマコ。
その顔を見つめて、小さく頷いてから車から離れる。
マコはニコニコしながら車を走らせ、俺もまた微笑んで車を見送った。
“…私って、朔也のなんなのかな?”
……彼女は、俺のなんなんだろう?
ずっと考えていたけれど、やっぱり答えは見つからない。
「…ごめんね、マコ」
ハッキリしない男でごめん。
ちゃんと答えられなくてごめん。
「…だけど、好きだよ」
……その“好き”が、どこまでの想いかは相変わらずわからないけれど。
だけどそれでも、好きなんだと思う。
「…ごめん」
もう一度呟き、マコの車を見続けた。