【完】空とキミ ‐十朱 朔也‐
ありがとう と 約束
――……。
……。
それから俺とマコは、毎日メールでやり取りをした。
一方通行じゃなくて、二人で色々な話をする。それが楽しかったし、メールの文面でマコが笑ってくれるのが嬉しかった。
【 明日、朝9時にХХ駅で待ち合わせしよう! 】
と金曜に言われ、そして翌日の今日、俺はХХ駅でマコを待っていた。
「………」
駅前にある時計を見つつ、小さく息を吐く。
「…遅い」
堪らなく呟いた直後、ポケットの中で携帯が鳴った。
「…はい」
『ごめん寝坊した! あと5分で行くから!!』
「…わかった」
ピッ と電話を切り、また息を吐く。
約束の時間は9時。
だけど駅前の時計も俺の携帯も、示しているのは10時30分。
…なんとなく予想はしてたけど、やっぱりこうなった。
それでも「さすがに今日は早く起きるだろ」と淡い期待をしてたけど…、
……期待してた俺が馬鹿だった。
「朔也!」
キキキッ と車が止まり、マコが顔を出す。
その顔を見て、更に深いため息をつく。
「……さっき、寝坊したって言ってなかった?」
「はい、めっちゃ寝坊しましたごめんなさい」
「寝坊した女が化粧バッチリで現れる?」
「だからぁ、“寝坊したから準備が遅くなった”の!」
「…化粧する時間があったらさっさと来なよ」
「あははっ、ごめんごめん!」
……馬鹿女。
「…俺の1時間半を返せ」
「そう言うと思った! だからねー、お詫びに買ってきた!」
…ニコニコと差し出された缶コーヒー。
俺の1時間半はコーヒー1杯分か…?