【完】空とキミ ‐十朱 朔也‐


…いや、でも…、


「…この写真、別人じゃないの?」


免許証に載っている写真は、年相応な女の子。

だけど今ここに居るのは、やっぱり中学生…。




「それ化粧してるじゃん? で、今は化粧してない。
そのくらい女は変わるってことだよー?」

「………」


……詐欺だ。




「…中学生じゃないならいいです。
余計な口出ししてすみません」

「ちょっとちょっと、急に敬語とか何ー」

「…俺、年下なんで」


「え、マジ? 22くらいに見えたけど違うの?」


22…つまり老け顔ってことか…。


「…もうすぐ18」

「おー、ピチピチの高校生!!」

「…使い方がおかしい気がしますけど、まぁ高校生ですね…」

「あははっ、未成年に手ぇ出したら犯罪だねー。
って、私もまだ未成年だけど!!」

「………」


…夜だってのに、なんつーテンションだ…。

大雅と話してる以上にキツいな…。




「ところで高校生くん、それって一人で食べるの?」

「え? あぁいや、仲間と一緒に…」

「ねぇそれさー、少しもらっていい?」


…はい?




「実はさぁ、財布落としちゃって現金ゼロ! だから恵んでくださーい!」

「……その手にあるのは財布じゃないんですか」

「うぉ、バレた!? 誰だこんなとこに財布出したのは!?」


……アンタだろ。

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