おさななじみ
一つ年下の妃那。
彼女は中学も高校も一年だけ待って追いかけてくる。
妃那とは幼馴染で、生まれてからずっと兄弟みたいにして育った。
離れてるのが不思議なくらいで一緒にいるのが当たり前だった。
今年、自宅から遠い街の大学に進学して一人暮らしを始めた。いつも一緒だった妃那とは春から数えるくらいしか会っていない。
「着替えるから話は後」
台所に着替えを持って移動する。
靴下はもちろんジーンズも膝あたりまで冷たくなっていた。
「ねえ、雨ってまだ降ってる?」
ドアごしに聞こえる妃那の声。
夏休みもバイトで実家に帰らなかったから久しぶりに聞く。
「ああ、降ってるよ。すごく」
「そお、明日も雨かなあ」
「テレビ見ればわかるだろ」
「そっか、そうだね」
そんな会話の後、にぎやかなバラエティ番組の音が聞こえてきた。