おさななじみ
「お腹空かない?あたし夕飯食べてないの」
 
まだ湯気のたっているマグカップから顔をあげて、人の顔色を伺うように見つめた。
 
少し会わなかっただけで女はこんなにも変わるものなのだろうか。
 
それとも一緒にいたときは気がつかなかったのだろうか。
 
あどけない幼顔から、少しだけ覗いた大人の表情に少しびっくりした。
 
 
 
時計はもう九時を過ぎている。
 
「コンビニ行くか?」
 
「行くっ!」
 
「その前にお前家に電話した?」
 
「あ、してない…」
 
「すぐしろって。おばさん心配してるぞ~」
 
「うん! あれ? ケータイどこだっけ?」 
 
「カバンの中だろ? ほらそこ」
 
「あ!あった」
 
 
 
< 31 / 51 >

この作品をシェア

pagetop