おさななじみ
おばさんは昔のことを思い出すように小さく微笑んだ。
 
「…あたし、もう行きます」
 
「いってらっしゃい」
 
 
 
 あたしは泣きそうになっておばさんの前から足早に去った。
 
 おばさんや、洸輝の前では絶対に泣かない。
 
 あたしの中の思い出は簡単に「懐かしい」なんて一言でくくれるものじゃない。
 
 洸輝を思う気持ちは言葉に出来ないほど切なくて、苦しくて、大切で…
 
 気がついてもらえなくてもそれでもよかった。
 
 ずっとずっとそばにいられれば。
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