大好きな変な家族たち。◆
「・・・・

 建志もわかっているだろうが、この柳瀬川家は
 世間的にも「名門」だ。」


おじい様が腕を組んで一人がけのソファーにふんぞり返る。


祖父といっても、
まだ目には活力があり、白髪ではあるが
短めに切りそろえられてとても80歳を超える老人には見えなかった。

父に社長の椅子を譲っても
精力的に合併や事業の展開などを行い

実質的に柳瀬川を支えている。



白いシャツに、あわい感じのカーディガンをさらりと着こなす姿は、

志保が「父です」といって紹介されても


違和感無いかもしれない。



「最近は色々経営多角化だが、
 基本的なことは何も変わっていない。」


おじい様は
紅茶を口に含んで、
ふっと、笑う。










「社員を大切にすることじゃ」



以外にもやさしい顔をしたので、
母が驚いたように、体をぴくっとふるわせたのを
私は見逃さなかった。

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