大好きな変な家族たち。◆
「だからといってっ…」

母は押し殺したように声を漏らす。


「サツキさんにはわかってもらえないだろう。 
 『柳瀬川』がどれほど大事なものか。」

ふん。

鼻を鳴らす。


ソレが気に入らなかったのか、
気の強い母はぷいっと顔そむける。



母は、特別名門でも名家のお嬢さんでもない。

ごくごく一般の生まれ。

母の父は職人気質の大工の棟梁で、母の母はパートしていた。
今は少し郊外で
畑仕事をしながらのんびり暮らしている。



素直で短気な性格で

ソレが災いして

高校卒業もぎギリギリなくらい
遊んでたらしい。


母は詳しく
話さないが、

父との出会いは

バイクで走らせているとき
たまたまぶつかったのが、父の車だったらしい。


 そのころからサツキさんは美人で僕は
 一目ぼれだったんだよねぇ~

以前父から聞いたら

思った以上にのろけられたので、
志保と建志も 話半分に聞いていた。

父はむかしから、
ふんわり笑うゆるやかな人だったらしい。
< 17 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop