大好きな変な家族たち。◆
いまさら自己紹介。
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柳瀬川 志保。やなせがわ しほ。
今度の春で大学卒業を控えている。
大学も世間では『お嬢様学校』と認識されているところだ。
肩より少し伸びたストレートの黒髪は
清楚なお嬢様をより演出している。
愛想を振りまくようなことはしない。
母譲りのさばさばした性格で、
はっきり物を言う割りに、鈍感で。
凛とした立ち振る舞いは
高嶺の花という感じそのもの。
しかし、小等部からの親友の奈津美から言わせると、
美人だけれど、天然で鈍感。
そんな志保がほっとけなくて、今に至る。
「志保ったら…大丈夫かな~」
志保の親友、奈津美はカフェでコーヒーを飲みながら
携帯電話を見つめている。
むやみに志保にかけて修羅場だったら嫌だしな。
気を使ってさっきからかけるにかけられない。
「志保。結婚しちゃうのかな」
ぽそっとつぶやいて、携帯電話に目を落とす。