大好きな変な家族たち。◆
聞き覚えのある声に奈津美は思わず辺りを見回す。
「建志君!?」
「ひさしぶりだね。元気だった?奈津美ちゃん」
そこには、甘い笑顔の建志がいた。
建志の優しい声が響く。
「あー。やっぱり奈津美ココにいたんだ。」
その、にこにこ笑っている建志の後ろから、
笑って志保が顔を出した。
「ここにいると思ったんだ。
建志もつれてきちゃった。」
と、志保は奈津美の向かいに座った。建志は志保と奈津美の間に腰かける。
なんだかんだで、気を使って建志を連れてきてくれるあたり、
志保にはかなわないなと奈津美は思った。
あー。やっぱり二人そろうと絵になるな。
奈津美は追加でオーダーしたコーヒーを飲みながら思った。
「心配したんだよ。大丈夫だった?」
奈津美が切り出す。
「奈津美ちゃん…それが、全然解決してないんだよ」
建志が奈津美を覗き込むように割り込む。
ふわっと建志の吐息が奈津美を包んで、
奈津美はびくっと身を震わせて、赤くなる。
「はぁ。建志…」
志保は呆れて愚兄をにらむ。