大好きな変な家族たち。◆
「建志。本気で奈津美を口説くのはやめて…
 
 奈津美が本気になったら、困る。」


志保は右手で払うように建志の軽口を止める。
建志はいつでも「遊び」だ。
本気で女と付き合わないという迷惑なポリシーを守っている。



「そうだね~。ごめんね奈津美ちゃん。からかっちゃって」




「いえっ。そんな。建志君ならいつでも…」

奈津美は顔を赤らめて、コーヒーカップで顔を隠した。


そういうのを見るたび志保は「恋する乙女だな」なんて思う。




「ホント?うれしいなぁ。

 でも、奈津美ちゃんは志保の親友だし、いい子だし、

 泣いてほしくないから、


 俺みたいな悪い奴にひっかかるなよぉ~」



あはは。と建志はふんわり笑う。







建志も一応、自覚はあるらしい。

「自覚あって、手を出されちゃ・・・どうしようもないんじゃない?」

志保はひとり言のようにため息とともにはきだした。
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