大好きな変な家族たち。◆
「ありがと、心配してくれて。
 でも、今日 建志が帰国してくるから大丈夫だよ」



青い空を見上げて言う。

今日は雲がしろいなぁ。
なんてどうでもいい事を考えながら。

「ぇえ?建志君。帰ってくるの?」


奈津美の声が上ずる。

私の親友は私の兄の建志に惚れているらしい。
同じ顔を持つ奈津美の親友としては複雑。




「奈津美。建志はやめといたほうが…」


と、何度目かの忠告をおせっかいながら告げる。

「もぉ。わかってる。
 建志君は憧れ。
 だって、『王子』なんだもーん」


奈津美は、照れたように笑い飛ばす。
奈津美とは小学校からの付き合いだから、
建志とも顔なじみ。

『王子』は高校の頃の建志のあだ名。

にこにこ笑顔のフェミニスト。
誰にでも優しい王子様。

上級生にも下級生にももちろん同級生にも人気が高かった。


私の喜怒哀楽の表情は
きっと生まれるとき建志に持ってかれたんだ。



私は、笑顔が苦手だ。


そっくりな見た目で、
中身は違う。


建志が白なら私は黒。

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